工程能力指数について解説!品質管理に役立つ指標

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2021.09.17

目次

    工程能力指数とは製品を大量生産する生産現場で用いられる品質管理の指標の一つです。適切な抜き取り検査の頻度の検討、工程の異常の検出などに用いられています。特に量産品を大量に製造する企業向けに使われています。毎日、数百個、数万個と生産される製品に一つでも不良品が紛れ込むのではないかと懸念し、全数検査している現場は少なからずあるかと思います。抜き取り検査に切り替えてコストダウンしたいと思っても判断基準が無く困った経験は無いでしょうか?この記事では生産現場に携わる方や製造を外注される方に向けて、品質管理の指標である工程能力指数について解説します。品質向上や検査コストダウンなどに役立てて下さい。

    工程能力指数(Cp)と偏りを考慮した工程能力指数(Cpk)

    工程能力指数とは、製品の寸法などの公差(規格)の幅と、実際の測定値のばらつきを比較した数値です。

    工程能力指数(Cp)

    Cpの計算式は次の式のように、分子が公差の幅(=[公差の上限値]-[公差の下限値])、分母が標準偏差の6倍となっています。標準偏差とは測定を繰り返した時にどのくらいばらつきがあるかを示す値です。

    cp

    分子は図面などで決められた値なので、分母つまり標準偏差によってCpが変動します。よってばらつきが小さいほどCpは大きくなり、工程の状態が良好であることを意味します。

    graph1

    graph2
    上の図が標準偏差が小さい場合。ばらつきが小さく中心に測定値が集まるため、公差域(黄色線)の中に収まる数が多くなる。

    しかし、この式は純粋に測定値のばらつきの大きさのみを見ており、平均値が公差域のどの辺りにあるかは関係ありません。極端に言えば測定値が公差域の外にあってもばらつきさえ小さければ良好であるという結果が出てしまいます。

    偏りを考慮した工程能力指数(Cpk)

    そこで測定値の平均値が公差域のどの辺りにあるかを考慮したCpkという計算が用いられます。kは偏りを意味しており、偏りが小さい、つまり平均値が公差域の中心に近ければ近いほどCpkが良くなる計算式になっています。
    cpk

    graph1

    graph2
    標準偏差が同じでも平均値(山の中心)がずれると、公差域(黄色線)から外れるものが多くなる。

     

    閾(しきい)値について

    上記の式で求めたCp,Cpkからその工程がどのくらいの工程能力があるのかを判断します。一般的に1.33以上あれば良好であるとされています。その理由はCp,Cpkがちょうど1.33のとき不良の発生率は10万個に6個となり、それ以下の発生率であれば、現実的に問題は起きにくいためです。その他の値での判断基準の一例を次に示します。

    matrix-700x267

    ここで注意すべきは、製造する製品によって基準は異なることです。例えば公差から寸法が外れることで重大な事故につながるばあいは1.33であっても不十分だと考えられます。

    また、既存の生産ラインの品質管理に用いる場合と、新規に立ち上げる生産ラインの評価では異なる閾値が用いられることがあります。例えば、新規ラインの未知の不具合や安定状態がどのような状態を指すのかを十分に把握できていないため、余裕を持った評価をするなどです。具体的には、既存ラインで1.33以上で良好とされる現場では、新規ライン立ち上げ時には1.67以上を目標にすることがあります。

    測り方について

    Cp,Cpkを計算するためには、生産ラインで製品を測定し、データを収集します。収集したデータから標準偏差を求めることで上記の式を用いた算出ができます。データを収集する際に注意する点は、ラインが安定した状態で行うことです。Cp,Cpkは統計的な確率を計算するためのものなので、自然に発生するばらつき以外の外乱があると正しい結果が得られません。ある現象を繰り返し測定した時に測定値の分布が一つの山になる(正規分布と言います。)場合に安定した状態と言えます。分布の山が二つになるような状態では正しい計算ができません。two-tops
    測定値の分布が二つの山になる場合などは安定した状態とは言えない。

    安定した状態であることが確認できたら、何個の測定値があれば信頼できる結果が得られるのかについて解説します。次のグラフは横軸が測定データの個数、縦軸がどれくらいの信頼できる精度が出るかを示したものです。縦軸は1に近いほど優れていることを意味します。sinraikukann

    グラフを見てわかる通り30個を超えたあたりからグラフはなだらかになり、数を闇雲に増やしてもあまり効果がありません。これについて詳しく理解するには統計学を学ぶ必要がありますが、一般的な製造業では30〜50個程度のデータがあれば十分と判断されることが多いです。

    運用方法について

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    Cp,Cpkが1.33以上であることを確認した上で量産をしたからといって、その後管理を怠れば異常を発見できず不良品を流出させてしまうことになります。
    量産中にもデータを収集し、工程能力指数を確認することで異常を早期に発見することができます。
    実際の生産現場ではその場での計算が難しいため、パソコンで表計算ソフトをすぐに使用できる環境の準備やどの部署が計算するのかなど管理体制の整備も重要になります。

    計算されたCp, Cpkから不具合を検出し、どのように対応するか一例を示します。
    同じデータを用いてCpとCpkの両方を算出した時に、Cpは良好だがCpkが悪い場合、ばらつきは小さいが平均値が公差中心からずれていると考えられます。そのため対応としては、平均値が公差中心になるよう設備の調整を実施すれば良いことになります。

    コストダウンという観点では、Cp,Cpk共に1.67よりも大きい場合、全数検査を抜き取り検査に変更するなどの検討ができます。確率的にほとんど不良が発生しないのに、過剰な頻度で品質検査することはムダであると考えられます。同じ工数を掛けるのであれば、ラインを安定状態に維持する保全を行う方が生産性の改善の観点からも有効となります。

    まとめ

    工程能力指数の考え方、計算方法は統計学の考え方に基づくため、多くの方が馴染みにくいと思います。この記事ではあまり数式を用いずに一般的な運用方法を解説しました。まずは自社の製品のCp,Cpkを算出してみて、この指標について興味を持って頂き、理解を深めて頂ければ幸いです。ファクトリーエージェントでは、量産品についても品質を担保できるメーカーと提携しております。品質の不良にお困りの方は、一度お気軽にご相談ください。

     

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