鉄鋼材料の基本!S45Cの特徴や用途、加工法を解説

材料の基礎

2021/03/05

S45Cはその物性、入手性、加工性のバランスの良さから、機械部品を設計する時にはまず採用を検討されることが多い材料のひとつです。この記事ではS45Cの特徴や使用方法、設計上の注意点などを解説します。S45Cに関連する鋼材についてもふれておりますので、これから業務で取り扱う方はもちろん、既にご存知の方もご一読頂き再確認にお役立て下さい。

S45Cの特徴

機械構造用炭素鋼鋼材の一種
S45Cは機械の部品に用いられるポピュラーな材料で、鉄と炭素の合金です。JISでの正式名称は機械構造用炭素鋼鋼材(JIS G 4051)で、数字の45は炭素含有量0.45%を意味します。
炭素量が多いほど強度(降伏応力)が向上し、逆に靭性(耐衝撃性)が下がる傾向があります。熱処理をすることで機械加工がしやすい硬度にしたり靭性をコントロールすることができます。

同じ機械構造用炭素鋼で代表的なものとして、炭素量が少ない順にS15C, S25C, S30C, S35C,  S50C, S55C などがあります。JISで確認して頂くと更に細かく区分されていることがわかると思います。

 

熱処理が可能
鋼材を熱処理で硬度を向上させるにはある程度の炭素量が必要で、機械構造用炭素鋼では炭素量がS30C以上であれば、熱処理の効果を得ることができます。そのためS45Cは熱処理の効果を得ることができます。熱処理後の降伏応力は490MPa以上になります。

 

耐食性は低い
普通の鉄鋼材と同様錆びやすいので、美観を保つ必要がある場合は錆を防ぐための塗装や表面処理などで対策する必要があります。

 

入手性はよい
ポピュラーな材質なので入手性に困ることはありません。鋼板や丸鋼、角鋼、六角鋼、線材など様々な形状で流通しています。
パイプ形状の材料は別の規格の機械構造用炭素鋼鋼管(JIS G 3445)に分類されています。

SS400との比較

良く比較される材料としてSS400(一般構造用圧延鋼材 JIS G 3101)があります。SS400は引張強さが400MPa以上であることと、化学成分で不純物とされるP(リン)とS(硫黄)の上限値が決められているだけです。S45Cより安価ですが、硬度の規定が無いなど機械部品として設計上考慮すべき特性が不明確というデメリットもあります。また、SS400は熱処理による硬度アップができません

 

強度
熱処理による硬度・強度の向上が可能ですが、生材(熱処理しないまま使用する)でもSS400(降伏応力235MPa以上)より高い強度(降伏応力345MPa以上)がある材質なので良く用いられます。

ただし部品を使用する箇所のスペースなどの寸法制限によりS45Cでは強度の確保が難しい場合、更に強度がある合金工具鋼やクロムモリブデン鋼(SCM材)などの合金鋼の使用を検討します。また、疲労強度(繰り返し応力に耐えられる回数)の面では、合金鋼に表面のみを高硬度にし、内部は柔らかさを残すことができる浸炭処理ができる材質があり優れています。

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主な用途

熱処理により硬度を上げ、耐摩耗性が高くなる特徴を活かした用途が多いです。
そのため機械内部の要素部品に使用されることが多いです。

  • ポンプ、コンプレッサなどのシャフトやギアなど
  • プーリ、キー、ブラケットなど
  • 自動車部品(エンジン周辺部品、駆動部品、足回り部品)
  • 家庭用機器の部品
  • 製造現場の治具、工具

その他にも様々な部分でS45Cは使われています。

加工方法と注意点

S45Cは切削、研削、鍛造、熱処理など様々な加工が可能です。以下で、各加工方法の特長や注意点等を紹介します。


切削
一般的な素材状態では加工しやすい材料で、旋盤やフライス盤での切削加工、鋸盤での切断加工、板材はシャーリングでの切断加工が可能です。
熱処理後であっても、超硬合金やCBNインサートを使用した切削加工が可能なので、砥石を使用した研削に代わる加工方法として検討することができます。

◆切削加工についてはこちらへ
>切削加工とは?加工のプロが基礎から実践的なポイントまでご紹介

 

研削
研削による仕上げ加工をする場合は、熱処理後に行うことが一般的です。生材の研削は素材硬度が低いことで寸法精度が安定しないことが懸念されます。

◆研削加工についてはこちらへ
>研削加工とは?種類や特徴を基礎から徹底解説!

 

鍛造
大量生産が前提であれば鍛造による成形も視野に入れると良いでしょう。型の製作費が初期コストとしてかかってしまいますが、切削加工の取り代削減によるコストダウンが期待できます。また鍛造は切削加工に比べ疲労強度が向上します。

 

熱処理
他の部品と摺動する場合、耐摩耗性を改善するために熱処理をするのが一般的です。
熱処理として焼入れ・焼戻しを実施した場合に、得られる硬度は一般的な熱処理条件でおよそ250HBWとなります。熱処理時の注意点として、材料の直径はφ20程度以下、板形状なら厚さ14mm程度以下でなければ内部まで焼きが入りません。形状の変更による解決が難しい場合は、焼入れ性の良い合金鋼へ変更を検討します。

表面のみ硬度を上げたい場合は、高周波焼入れという手段も有効です。上記のいわゆるズブ焼きに比べて、高周波焼入れは表面のみですが高硬度にすることができます。高周波焼入れ後は焼戻し処理することで脆性を改善します。ただし、60HRC程度の高硬度が必要な場合はS45Cでは高周波焼入れを行っても難しい場合が多いので別の材質に変更を検討します。

 

溶接
溶接性は常温ではあまり良くありません。炭素量が多いため熱影響部(溶接金属の周辺)の急冷、硬化により割れの原因となります。溶接が必要な場合は、使用中の割れによる破損を避けるため、溶接前の予熱・溶接後の後熱も実施するよう指示することが無難です。溶接時の欠陥が重要な問題になる場合は、SS材やSM材などの溶接向きの素材への変更も検討します。

◆溶接についてはこちらへ
>溶接の基礎知識!溶接の種類やメリット・デメリットを解説!

まとめ


この記事では、S45Cを含め鋼材の基本的な内容を紹介しました。いかがだったでしょうか。

S45Cは加工性が良い材料なため加工対応できるメーカーは数多くあります。しかしコスト面に目を向けると、素材形状選定と加工方法の違いによって加工コストは意外なほど差が出てしまうことがあります。加工工場によって得意な加工方法や保有設備に違いがあるためです。

S45Cは素材が安価な分、材料費と比べて加工費の方が高くなりがちです。その加工費を抑えるには適切な加工方法の選定が不可欠です。
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