製缶(製罐)加工とは?基礎から板金加工との違いまで徹底解説!

その他金属加工の基礎

2021/04/02

「製缶(製罐)加工って何だろう」「板金加工と何が違うの」と疑問をお持ちの方も多いと思います。製缶加工は今やモノづくりに欠かせない技術となっていますが、板金加工と混同されることも多く、あまり詳しく知っている方が少ないのではないでしょうか。

製缶加工とは?

製缶加工とは金属加工の一種で、分厚い金属板やステンレスに曲げや溶接を施し、タンクや水槽、フレームなど立体的な筐体を作る加工のことを指します。比較的大型の筐体を作る際に用いられる加工であり、使われる部材は金属板だけでなく、鋼管、形鋼と様々です。

 

製缶加工で作れるもの
製缶加工で作られた製品は様々なところに存在します。

マシニングなど工作機の架台・
フレーム・カバー
産業用ダクト
水槽など貯蔵設備  ガソリンスタンドの地下タンク

上記の通り、屋外に設置するものや高荷重がかかるものが多いため、強度と耐久性が必要となります。製缶加工では、金属板だけでなく形鋼(T鋼やH鋼)を使用して、骨組みからしっかりと組み上げていくため強度の高い製品を作ることが可能となります。マザーマシンと呼ばれる工作機械の骨組みとなるフレームやカバーも実は製缶加工で作られており、まさにモノづくりの基礎を支える技術であると言えます。

板金加工との違い

板金加工は、薄い板状の金属材料(ステンレス・スチール・アルミ・銅など)に力を加えて変形させる加工方法です。製缶加工は板金加工と同一視されることがありますが、厳密には別の加工方法となります。製缶加工と板金加工の主な違いは以下です。

 

板厚
板金加工と製缶加工の大きな違いは板厚です。一般的に板金加工では7mm以下の金属板が使われるのに対し、製缶加工ではおおよそ7mm以上の金属板や部材を使用します。前述したとおり機械の骨組みなど耐久性が必要な大型製品があるため、耐久性のある厚い金属板が使われる傾向があります。

 

完成品の用途
板金加工で使われる板材は、軽くてあまり耐久性がいらない製品に使われることが多いです。
一方、製缶加工で使われる板材は加工機械のフレームのように高い強度が必要な製品を作る際に使用されます。

 

完成品の大きさ
板金加工で作られる製品は装置の中に組み込まれるような小型のモノから家庭用の流し台など、人力で持てるほどの大きさが一般的です。
一方、製缶加工は1mほどの容器から10mを超える貯水槽など、板金加工よりも大きなものを作る際に用いられる傾向があります。

 

使われる材料
板金加工で使われる材料は主に鉄材のほかアルミやステンレスなどの金属板です。
一方、製缶加工の場合、立体的で強度のある製品を作るため、鉄材やステンレスが使用され、アルミや銅など強度の低い材量が使われることはあまりありません。

製缶加工のメリット・デメリット

製缶加工は、板金加工よりも強度の高い筐体構造物を作ることができますが、必ずしも板金加工よりも優れているわけではなく、場合によっては板金加工の方が都合のよい場合もあります。

メリット

  • 強度の高い筐体構造物が作れる
  • 比較的大型のものまで対応

 

デメリット

  • 大きさと用途の違いから、板金加工とは違った熟練工による知識と技術が必要となる
  • 基本的に手作業が多く、量産に不向き
  • 大型で高重量の製品が多く、自動化が難しいため製作コストがかかる

製缶加工の工程

製缶加工の工程は、「設計・展開プログラム」「切断」「曲げ加工」「溶接」「機械加工」「表面処理」と大きく6つの工程に分けられます。工程自体は板金加工とそれほど変わりません。

 

設計・展開プログラム
まず製缶物の設計を行います。
この際、必要精度やコスト削減などを設計に盛り込み、図面を作成する必要があります。
組み立て図をもとに、どの大きさの板材をどの程度分割するかを決定し、展開図に落とし込みます。

 

切断
あらかじめ決めたサイズ・配置で板材をカットしていきます。
この工程やシャーリングマシンやレーザーを使用しますが、高精度な切断をしたいといった場合はレーザーカットにより切断を行うこともあります。タレットパンチプレスやレーザーカットでも切断できない厚い金属板を使う場合は、溶断することもあります。製品の用途や材質により切断方法を選ぶと良いでしょう。

◆レーザーカットについてはこちらへ
>レーザーカットとは?特徴や加工機の種類をまとめて解説!

 

曲げ加工
製缶加工では、曲げ加工においても金型を使用します。
ダイと呼ばれる受け型の上にセットし、パンチにより金属を折り曲げて任意の形状を作り出します。
曲げ加工にもV曲げやR曲げ送り曲げなど様々な形状があり、板厚や曲げ半径により加工可能な範囲がかわるため、設計の段階で検討が必要です。
スプリングバックも考慮した曲げ加工を行うことで、後の工程での寸法精度も安定します。

◆曲げ加工についてはこちらへ
>曲げ加工とは?原理や種類、注意点などの基礎知識を解説!

 

溶接
溶接によって複数の材料を接合します。この工程は製品の精度を左右する非常に重要です。溶接の方法として「アーク溶接」「レーザー溶接」などがありますが、溶接後の変形を防ぐために変形量の小さい溶接条件を選ぶことが必要となります。またショットブラストにより応力歪みを除去したりもします。
厚板の溶接には、十分な溶け込みを確保するために溶接個所に開先の加工をする場合が多くなります。開先の形状はI形・V形・レ形などがJISで規格化されており、継ぎ手の形状の溶接に多く利用されます。

◆溶接についてはこちらへ
>溶接の基礎知識!溶接の種類やメリット・デメリットを解説

 

機械加工
マシニングセンタなどの工作機を使用して穴あけや面加工を行いますが、製缶加工製品はサイズによってはマシニングのテーブルに乗らないので、穴あけは工具を使って手動でまたはレーザーにて行ないます。

◆切削加工についてはこちらへ
>切削加工とは?加工のプロが基礎から実践的なポイントまでご紹介

 

表面処理
必要に応じて、製品の表面にめっきや塗装を施します。
屋外や水がかかるような現場で使われる場合には耐食性を高め、火元など高温にさらされる場合は耐熱性を高めるなど、用途に応じて効果的な表面処理を選択します。

◆表面処理についてはこちらへ
>表面処理とは?種類や方法について解説!

製缶加工の設計ノウハウ

製缶加工は板金加工と違い、大型の重量物を作ることがあります。そのため板金加工以上に注意する必要があることもあります。

 

工場の保有する機械・設備を確認する
工場で加工が可能な製品の大きさや、板厚や形状は、工場が保有する設備により差があります。大きい製品の取り回しに適していない工場や、保有設備で不可能な加工を選択すると外注や、特別な取り回しや再設計のコストがかかるため、まずは条件を確認することが必要でしょう。

 

溶接箇所を最小限にする
溶接することにより、溶接ひずみが発生します。
特に板厚が薄い箇所の溶接は溶接ひずみが発生しやすく、製品全体の精度に大きく影響するため、溶接箇所は必要最低限にする必要があります。

 

輸送コストを確認する
前述したとおり製缶加工製品は重量が重くなる傾向があるため、納品先までの距離・輸送方法(許容重量)・荷下ろしの方法などあらかじめ確認した上で設計することが必要となります。ここが板金加工の製品との大きな違いだといえます。

 

必要な強度を確認する
一言で製缶物と言っても、その使われ方は様々です。地中に埋まるタンクや設備の土台など、製品により形状も要求される強度が変わってくるため、強度計算や応力計算を行い、強度が不足すると思われる箇所には補強を入れることが必要となります。

 

過剰な公差指定は避ける
必要ではない箇所に厳しい公差を設定すると、加工や管理の工数が増えるため、製作コストが増加します。各部に適切な公差を指定することで無駄な工数をかける必要がなくなります。

まとめ

以上が、製缶加工の基本的な知識となります。
製缶加工は水槽やフレームなど、強度が必要な骨組みを効率的に作るために必須の加工方法です。加工には専門的な知識や技術が必要なため、プロにお願いすることが望ましいでしょう。
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