簡易金型について解説!試作や小ロット生産に適したプレス用金型

その他金属加工の基礎

2021/04/23

プレス加工は板材に曲げ、打ち抜き、絞りなどの加工を行い部品を製作する加工法です。材料費用や加工費用が安価なため自動車部品や電化製品・、各種装置・玩具など幅広い分野で用いられています。しかし、初期費用として高額になりがちな金型製作費用に悩む方も多いと思います。この記事では金型費用を抑えるための簡易金型について解説します。メリットとデメリットを正しく理解し、金型製作時の選択肢としては検討してみるのはいかがでしょうか。なおこの記事では加工対象を鋼材やアルミ材の金属の薄板として記述しております。

簡易金型とは

簡易金型とは、試作・小ロット生産に適したプレス用金型です。量産用金型(本型)に使われる材料よりも安価で加工性に優れた材料を使うことで、金型製作費用の削減と製作期間の短縮することができます。その反面、硬度や強度が低いためく製造の工法も簡易的なものになるため、高負荷・高精度の加工には向かず、製品を加工できる個数は本型よりも少なくなるデメリットもあります。

この記事で取り上げる簡易金型は2種類あります。一つが積層簡易金型、もう一つがZAS型です。

積層簡易金型

積層簡易金型とはレーザー加工などで切り出した金属板を重ねたものを、溶接やボルト留めで固定したものです。主に絞り加工や曲げ加工に用いられます。

ZAS型

ZAS型とはZinc Alloy for Stampingの略で、亜鉛合金(Zn、Al約4%、Cu約3%ほかマグネシウムなどの少量の金属の合金)を用いた金型です。ZAS材は軟鋼に近い物理特性を持ちながら、切削性・鋳造性が良いため簡易金型の材料に向いています。融点が約400℃と低い・鋳造時の欠陥が生じ難いなど、条件管理が容易なので鋳造に向いた材料です。鋳造で大まかな金型形状を作った後、切削・研磨加工で形状を仕上げます。主に深絞り加工など3次元的な加工に用いられます。

一方、本型の製作に使用される材料は工具鋼やダイス鋼、超硬合金などの高硬度な材料です。高精度、高耐久の金型ができる反面、加工しにくかったり、成形に工数が多くかかったり製作しにくい要素があるため加工費が高く、製作期間が長くなります。

簡易金型での加工で出来るもの・出来ないもの

簡易金型、特にZAS型は本型よりも柔らかい材料で製作されるため、金型にかかる負荷が比較的小さい加工が可能です。曲げ加工や絞り加工であれば形状や素材、板厚にもよりますが問題無く加工できます。

逆に局部的に大きい応力がかかる加工は難しいです。具体的には、打ち抜き加工、穴あけ加工などのせん断加工や極小Rの加工は不向きです。せん断加工は上型と下型にそれぞれ刃部を設けて互いにすれ違わせることで板材に圧力をかけて切断します。この瞬間に刃先に非常に大きい応力が作用するため、金型材料には高強度、高硬度が求められます。また、極小Rの加工も同様に金型のR部に大きい応力がかかるため簡易金型の材料では耐えることができません。もし簡易金型でせん断加工や極小Rの加工をする必要がある場合は、せん断加工をする刃部やR部に本型に使用する材料を部分的に取り付けることで対応します。別の材料を付けることでコストアップになりますので、十分に検討する必要があります。

簡易金型のメリット・デメリット

メリット

  • 材料が、安価で加工性が良いため金型費用の削減・製作期間の短縮ができる
  • 小ロット生産には十分な耐久性がある
  • ZAS材は型が不要になれば再度溶解して別の金型製作に使用できるため、材料費の削減が可能

 

デメリット

  • 簡易積層金型は切り出した板を重ねて製作するため、形状精度や剛性の面では本型に劣る
  • 板を積層しているため積層面の段差形状が製品に転写されてしまうことがある
  • 金型表面を高精度に仕上げても材料にその表面形状を転写できず、表面のうねりや粗さ、意匠が本型に比べて劣る
  • 金型製作者の技術力によって金型の品質が大きく左右されることが多い
  • ZAS型では金型材料が柔らかいことで、金型に高負荷がかかる加工は難しい

それぞれの型の製造方法

それぞれの簡易金型の製造方法は次のような方法が一般的です。
ZAS型については溶解した亜鉛合金を削り出して作る方法と、シリコンゴムや石膏を使って亜鉛合金を反転鋳造して作る方法があります。形状によって適切なものを選択します。メーカーによって得意な方法に差があることがあります。

簡易曲げ金型

切り出し

金属板から必要な形状の板を切り出します。
主にレーザーカットや、重ねた状態でのワイヤーカットが用いられます。

積層

切り出した板を溶接またはボルト留めで固定します。
カットや積層の仕方は、大きさや製造個数から適切な方法を選択してください。

必要に応じて仕上げ加工

必要に応じて面取りや磨きを行ないます。

積層簡易金型

金属板を切り出して積層し、下図のような金型を製作します。

プレス加工の場合

絞り加工の場合

切り出し

各層毎に必要な形状で金属板を切り出します。曲げの金型と同じく、ワイヤーカットが用いられる場合もあります。

積層

切り出した板を溶接またはボルト留めで固定します。
上下の型の位置合わせが必要であれば位置決めピンなども用います。

必要に応じて仕上げ加工

必要に応じて面取りや磨きを行ないます。

ZAS型(ブロックからの削り出し)

溶解

インゴットを溶解炉で加熱し溶解します。

冷却

金型の大きさに合わせた容器に溶湯を移し、冷却後に取り出しブロックにします。

機械加工

ブロックに機械加工を行い、必要な金型形状を転写にします。
マシニングセンターを使用した3次元形状の加工も可能です。

ZAS型(型成形反転鋳造)

で上型を、で下型をつくっていきます。

1.マスター型製作

最終的に製作したい製品の形状のマスター型を製作します。
材質はケミカルウッド(人工木材)や木材などが良く使用されます。

2.シリコン型製作

石膏型を作るために、マスター型を反転させシリコンゴムを流し込み固めることで、上型用のシリコン型を製作します。

3.石膏型製作

反転させたシリコンゴムに溶けた亜鉛合金(ZAS材)の温度に耐えられる石膏を流し込み、石膏の型を製作します。

4.上型製作

逆さにした石膏型に、溶けた亜鉛合金を注ぎ上型にします。
この工程で作った合金部分が上型になります。

5.シートワックス貼り付け

下型を製作するために、プレス加工する板材と同じ厚さのシートワックスを②で作成した上型用のシリコンゴムに貼り付けます。このシートワックスの厚みは作りたい製品の板厚と同一になります。

6.シリコン型製作

石膏型を製作するために下型用のシリコン型を製作します。

7.石膏型製作

下型用の石膏型を製作します。

8.下型製作

石膏型に溶けた亜鉛合金を注ぎ下型にします。

9.機械加工

亜鉛合金は凝固時に収縮するため、機械加工により形状の精度を出します。

以上、これらの型製作方法は一例です。製作者によって様々なノウハウがあるため上記以外の手法が取られることもあります。

まとめ

簡易金型のメリット・デメリットを理解した上で、適切に採用するとこでコストの効果的な削減を実現できます。また、ここで解説したデメリットに対しては金型製作者の技術、技量によって克服できるものもあります。ファクトリーエージェントでは、プレス加工のスペシャリストが簡易金型製作技術を有した提携工場からベストなパートナーを選定します。作りたい製品が簡易金型を活用することでコストを抑えて製作できるかどうかも含め検討し、最適な方法での製造方法のご提案が可能です。まずはこちらからお気軽にお問合せください。

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