加工限界について解説!切削加工・タップ加工編

その他金属加工の基礎

2021/06/14

切削加工やタップ加工はその工法上、高性能な設備を使用すれば加工精度を高められる傾向にあります。しかし、どれだけ高性能な設備であっても、形状によっては加工ができなかったり、変形しやすくなったりします。加工が困難な形状についての知識があれば、設計する時やメーカーへ加工依頼する時に役に立つでしょう。今回は、切削加工やタップ加工における加工限界と変形しやすい形状・材質について紹介します。

切削加工・タップ加工の限界

切削加工・タップ加工では、さまざまな要素によって加工限界が生じています。ここでは、次の4つの内容について、加工限界が発生する理由や具体的な数値などをご紹介します。

  • 端面から穴までの距離、穴同士の距離の加工限界
  • 取付穴や精度穴と、段差部・端面、穴間の肉厚条件
  • タップ深さの限界
  • アンダーカット形状

端面から穴までの距離、穴同士の距離の加工限界

製品形状によっては、端面から穴までの距離(上図a,c,d 寸法)が近くなったり、穴同士の距離(上図b寸法)が近くなったりすることがあるでしょう。穴加工を実施すると、周辺の材料が押されて近くにある端面や穴が変形し、精度が悪くなる可能性があるので注意が必要です。

変形をなくすためには、ある程度距離を離しておく必要があります。目安としては、板厚÷2は離しておきましょう(最小値は1mmとなります) 。もし距離を離せない場合は、精度が必要な部分を後から加工するようにして、変形の影響を最小限にする工夫が求められます。

取付穴や精度穴と、段差部・端面、穴間の肉厚条件


取付穴と段差部・端面の肉厚や、取付穴間の肉厚が薄ければ、取付時に変形したり破れたりする可能性があります。穴径にもよりますが、最低でも1mmから2mmは肉厚を確保するのが良いでしょう。ただし、穴が精密な公差を持った精度穴の場合は、最低でも1.5mm以上の肉厚を確保しておかなくてはなりません。

タップ深さの限界


ボルトで相手側部品と締結するためにネジ穴が必要な場合は、タップ加工を行います。この時、タップ加工の深さ(上図L寸法)が深すぎると加工中にタップが折れてしまう可能性が高くなり、精度とコストに影響します。そのため、適切な寸法に設定しなければなりません。

一般的には、タップ穴の深さはタップ径(M径)×2.5倍が加工限界とされています。例えば、タップ径がM5の場合は、5×2.5=12.5mmが加工限界です。材料の厚みやタップ径次第では、3倍程度まで深くできる場合もありますが、2.5倍を目安にしておけば安心です。締結の強度不足が心配になるかもしれませんが、最低でもタップ径×1.5倍の深さがあれば、十分な強度を確保できます。

また、タップには有効深さの考え方がありますが、板厚と有効深さの関係によっては上図のように貫通してしまう可能性があります。タップは先端が若干細くなっており、その部分は不完全ネジ部として有効深さに含まれないためです。目安としては、タップ穴の深さは有効深さ+5mm以上になると考えておくと良いでしょう。貫通を避けたい場合は、有効深さを短めに設定しなければなりません。

アンダーカット形状

設備に取り付けた刃物で材料を削りとる切削加工では、壁の裏側や入り組んだ形状を加工できないことがあります。そういった形状はアンダーカット形状と呼ばれ、加工するためには工夫が必要です。例えば、下図の赤線部分がアンダーカット形状となっています。

赤線部分を加工する方法の一つは、形状変更です。例えば、貫通穴に変える、加工用の穴を設けるといった形状変更をすれば、下図のように加工ができます。

貫通穴に変える

加工用の穴を設ける

もう一つの方法は、分割して加工した後に溶接もしくは締結するというものです。下図のように2部品に分割して加工した後にひとつにをすれば、元々の形状を実現できます。

分割して加工した後に溶接もしくは締結する

ただし、該当箇所は強度が落ちてしまう点には注意が必要です。

変形しやすい形状・材質

ここまでに紹介した内容以外にも、加工限界とまではいきませんが変形の可能性が高い形状がいくつかあります。また、比較的変形しやすい材質もあるので、切削加工・タップ加工での注意事項としてまとめて紹介します。

  • 深すぎる穴形状
  • 肉厚の薄い形状
  • 端面近くのタップ加工
  • 変形しやすい材質

深すぎる穴形状

上図のように穴径に対して深すぎる穴の場合は、高精度に加工できなくなります。加工途中で曲がってしまったり、穴径が広がったりするためです。一般的には、穴径の8倍程度の深さまでであれば高精度に加工できます。
穴径の8倍以上の深さがどうしても必要な場合は、両端から穴加工する方法があります。しかし、両端から穴加工すると、穴位置が若干ずれることによって中央に段差が発生してしまうので、いずれにしても高精度な加工は難しいです。穴径を大きくする、寸法精度を緩和する、特殊なドリルや設備で加工するといった対策が必要になるでしょう。

肉厚の薄い形状

切削加工では、残った材料の肉厚が薄くなる形状は全体的に変形しやすいので注意が必要です。

例えば、上図a寸法が細すぎると、穴方向に変形してしまう可能性があります。対策としては、a寸法を大きくする、中央に補強を設けて穴を2つにする、といった方法があります。
また、上図b寸法が狭く、c寸法が高い場合は、力のかかりかたによりますが、一般的には中央方向に変形しやすくなります。こちらの対策は、b寸法を広げる、c寸法を低くする、凹み部分の根本Rを大きくする、といった方法が考えられます。

端面近くのタップ加工

端面に極端に近い位置にタップ加工を行うと、側面がタップの形に盛り上がってしまうことがあります。強度的にも弱くなり、何らかのきっかけで破れてしまうかもしれないので、避けるようにしましょう。
端面とタップ穴の距離は、最低でもタップ穴径分空けておくと安心できます。もし設計上難しい場合は、タップ加工後に端面の加工をする方法がありますが、タップ穴の強度が下がる可能性があるので注意しましょう。

変形しやすい材質

切削加工を行った際に、他の材質に比べて変形の起こりやすいものがあります。代表的なものが、ステンレスです。ステンレスは硬いので加工によって材料に負荷がかかりやすく、反りや歪みのもととなる残留応力が大きくなってしまいます。また、ステンレスは熱伝導性が低いので加工による熱が逃げていかず、より残留応力が大きくなるのです。

ステンレスにも種類があるので、変形しにくい材質を選定することが重要です。例えば、一般的なSUS304ではなく、切削加工性に優れたSUS303を使えば変形しにくくなるでしょう。材料の切削性も考慮すると、加工限界を緩和できるかもしれません。

まとめ

この記事では、切削加工やタップ加工における加工限界についてご紹介しました。加工限界は製品の形状や材質、使用する設備によって変わる場合があるので、参考としてご活用ください。

切削加工やタップ加工は、保有している設備次第で加工可否が決まるケースが多いです。ファクトリーエージェントは、各メーカーの保有している設備や得意な業種、取り組んでいきたい業種といった情報をパートナーとして把握しているので、1社1社個別に見積もりを取る手間を削減することができます。

切削加工やタップ加工を依頼したい時は、ファクトリーエージェントへお気軽にお問合せください。

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