精密板金とは?板金加工との違いや製造工程を解説

板金加工の基礎

2021/01/20

精密板金加工は板金加工の一種であり、高精度な加工によって金属板から複雑かつ精密な製品を作る加工方法です。この記事では、金属加工の専門家が精密板金加工のメリット・デメリットや加工の特徴、製造工程の流れについて徹底解説いたします。

精密板金加工のメリット・デメリット


最初に、精密板金加工のメリットとデメリットを紹介します。精密板金加工がどのような特徴を持っているのかを理解したうえで、次の章から詳しい加工方法についてみていきましょう。

 

精密板金加工のメリット

  • 寸法精度が高く、精密な製品を製造できる
  • 金属板から複雑な形状の製品を製造できる
  • 専用金型を作らずに製造するため、イニシャルコストを抑えられる
  • 試作品をスピーディに作って試すことができる

 

精密板金加工のデメリット

  • 作業者の力量によって仕上がりにバラツキが生じる可能性がある
  • 人の手で作業をするため、単価が高くなる傾向にある
  • 曲げ加工や溶接で実現できない形状は製造できない

 

精密板金加工とは

精密板金加工は、厚みが0.1mmから3mm程度の比較的薄い金属板を加工して、電子機器・通信機器・半導体製造機器・自動車などの筐体や部品を製造することを言います。

金属板を加工する主な方法としては、精密板金加工の他にプレス加工があります。プレス加工が専用金型を用いた大量生産に適しているのに対し、精密板金加工は、専用金型を用いずに汎用金型や治具を組み合わせ、多品種を少量〜中量生産するのに適した加工方法です。

精密板金加工では、切断・穴あけ・曲げ・溶接といった様々な加工方法を用いて、金属板を図面で指示された通りの複雑かつ精密な製品形状に仕上げていきます。

使用される金属板は、鉄・ステンレス・アルミニウム・銅・真鍮が主流となっています。材料によって少しずつ特性が異なるため、技術者は材料に応じて加工条件を微調整しつつ、厳しい寸法公差を満たせるように製造する必要があり、高い技術力を要する加工方法だと言えます。

精密板金加工と板金加工の違い

精密板金加工は板金加工の一種ですが、通常の板金加工とは何が異なるのでしょうか。精密板金加工と板金加工の主な違いは、次の2点です。

 

寸法精度の違い
板金加工は、手板金やたたき板金と呼ばれる手作業での加工も含んでおり、寸法公差が±0.5〜2mm程度といったように、高い精度は必要とされませんでした。主に建築材料などの、サイズが大きくて比較的単純な形状のものを製造するために用いられています。

しかし、精密板金加工は電子機器の中に入るような小さい部品や、気密性の求められる筐体など、複雑かつ精密な製品を製造する場合がほとんどです。そのため、曲げ加工で0.1mmや0.2mm以下抜き加工の精度にいたっては0.05mm以下といった厳しい寸法公差を満たす必要があり、とても高い技術力を要する加工となっています。

 

金属材料の違い
板金加工で扱う材料の厚みは、1mmから6mmのものが多く、中には10mm以上の分厚い金属板を加工する場合もあります。一方、精密板金加工で扱う材料は、厚みが0.1mm程度のものから3mm程度の比較的薄い金属板が主流となっており、薄いものだと0.1mm以下の金属板を加工することもあります。

また、使用する材料素材にも違いがあります。板金加工で扱う材料は鉄やステンレスが大半ですが、精密板金加工では上記に加えて、アルミや銅・真鍮といった材料も扱います。これらの材料は鉄やステンレスに比べると柔らかいため変形しやすく、また、熱伝導性が高いためレーザー加工や溶接がしにくいといった理由から、取り扱いがやや難しく、加工の難易度が高くなります。

このように、扱う金属材料自体が板金加工とは異なるため、板金加工の工場へ精密板金加工を依頼しても、材料調達ができない、加工対応できないといった場合も多く、加工会社選定に悩む原因となっています。

最後に、精密板金加工で製造される製品例を紹介します。形状の複雑さや精密がよく分かるのではないでしょうか。

 PCのフレーム  操作パネルの筐体  基板部品

精密板金加工の概要と、板金加工との違いについてはご理解いただけたと思います。最後に、精密板金加工の製造工程を細かく分けて解説していきます。複雑かつ精密な製品がどのようにして製造されているのかをみていきましょう。

精密板金加工の製造工程

1.工程設計・提案
図面を確認し、どのようにして図面通りの製品を仕上げていくか、工程設計を行います。精密板金加工では基本的に専用金型を使わないため、汎用金型を組み合わせて加工していくことになりますが、製品形状や寸法精度の要求次第ではどうしても専用金型を準備しないといけないことがあります。専用金型を準備するとコストアップしてしまうので、場合によっては汎用金型で加工可能な形状への提案を行うなどしてコストダウンしていきます。

 

2.図面展開
図面は基本的に加工完成形状が書かれているため、金属板から製造するためには展開図に変換する必要があります。展開図で形や寸法を間違えると後で修正するのは困難なため、製品の仕上がりを左右する重要な作業です。また、図面の寸法通りに展開すればいいわけではなく、金属は曲げ加工によって伸び縮みするため、それを考慮した展開図を作成する必要があります。難しい加工であれば、何度も展開図を微調整しながら製品を仕上げていく場合もあります。

図面の書き方についてはこちらへ
>伝わる図面の描き方:導入編 -製図でお悩みの方はこれで解決!

3.抜き加工
展開図の通りに、金属板を切り出していくのが抜き加工です。抜き加工では、タレットパンチプレスやレーザー加工機といった設備を用います。1,000mm×2,000mmといったようにサイズの決まった定尺材と呼ばれる金属板を設備にセットし、抜き加工の順番などをプログラムすると、設備が稼働して自動で抜き加工を行なっていきます。

4.前加工・バリ取り・タップ加工・バーリング加工・皿もみ加工等
抜き加工では、バリと呼ばれる金属の残留物や付着物が発生します。バリが残っていると、手で触ってケガをしたり、製品にキズが付いたりして不具合の原因になるため、除去する必要があります。また、曲げ加工後にタップを立てるのは難しいため、この時点でタップ加工なども実施しておくことになります。

 

5.曲げ加工
プレスブレーキ(ベンダー)と呼ばれる曲げ加工用の設備に金型を取り付けて、金属板を曲げて形を作っていきます。上型と下型の間に金属板を差し込み、上型を下降させて圧力を加えることで金属板が曲げることができます。曲げの形状も直角形状、R形状、折り返し形状(ヘミング)など様々です。一度の曲げで製品形状が完成することはほとんどないため、何度も曲げ加工を繰り返す必要があります。その際、曲げ形状にあった金型を何度も取り替えていく必要があり、その段取り工数もコストとなっていきます。

6.溶接加工
1つの材料から曲げや切断により最終形状に仕上げることが難しい場合、部品端面を接合させたり、別の部品を取り付けることがあります。その際に行われる工法のひとつが、溶接加工です。溶接加工には、頻度の高いものは主に電気を使って行うアーク溶接と、レーザー光で金属を溶かして接合するレーザー溶接があります。

溶接についてはこちらへ
>溶接の基礎知識!溶接の種類やメリット・デメリットを解説

7.仕上げ加工・表面処理
溶接をした後は焼けと呼ばれる溶接の跡が残るので、仕上げ作業として溶接焼け取り作業を行います。また、筐体などの使用環境上見た目の美しさが求められる製品や、腐食防止が必要な製品は、塗装やメッキなどの表面処理を行います。

 

8.組立・検査
出来上がった製品をさらに組み立てて最終形状に仕上げる場合もあります。製品の完成後は検査を行い、図面通りの寸法や外観要求を満たしているかを確認して出荷します。ここでは出荷前の最終検査を行うことになりますが、各工程では工程内検査を行なっており、それぞれの加工後の仕上がりを随時確認していくことが一般的です。

まとめ

この記事では、精密板金加工のメリット・デメリットや板金加工との違い、製造工程について紹介しました。この記事を読んで、精密板金加工についての理解を深めていただけたら幸いです。

精密板金加工は板金加工に比べ高い技術力が求められるため、適切な加工工場に依頼をする必要があります。『ファクトリーエージェント』は、精密板金加工に強みを持つ加工会社選びや相見積もりが簡単にできるサービスですので、発注業務をスムーズに行うことが可能です。複数社から製品に見合った技術や経験を持った発注先を選択できますので、まずはこちらからお気軽にお問合せください。

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