めっきとは?めっきの目的や種類、処理工程について解説!

その他金属加工の基礎

2021/03/05

「めっきが剥げる」という言葉があるほど、私たちの生活に密接に関わっている表面処理がめっきです。金属に表面処理を行う手段としては、塗装と並んでよく使われているため、めっきについての知識があれば役に立つでしょう。本記事では、金属加工の専門家がめっきの目的や種類、めっき処理の流れなどについて解説いたします。

めっきとは?


めっきは、素材の表面に薄い金属皮膜を形成させる表面処理方法の1種です。めっきは金属素材に対して行うのが一般的ですが、近年では樹脂などの非金属素材にもめっきが行われることがあります。
めっきと並んでよく用いられている表面処理方法には塗装がありますが、皮膜を形成するために使用する材料や処理方法に違いがあります。塗装の場合は、樹脂などを材料とする塗料を使って、ハケやローラー、スプレーなどで塗膜を形成するのが一般的です。一方、めっきの場合は、皮膜となる金属を溶かした液体にめっきしたい素材をつけて、溶けた金属を付着させることによって皮膜を形成するのが一般的な流れとなっています。

めっきを行う目的

めっきが行われた製品は、私たちの生活のありとあらゆる場所で存在しています。それほどまでにめっきが普及しているのは、めっきを行うことで「装飾性」「耐食性」「機能性」を高めることができるからです。

 

装飾性
皮膜となる金属の特徴を生かして、見た目を美しく仕上げるためにめっきが行われています。「装飾めっき」ともいわれており、金めっき、銀めっき、プラチナめっきなどが有名です。アクセサリーや調度品、自動車のインテリアや外装、家電製品の外装部分などに使われています。

 

耐食性
金属素材に錆が発生すると、見た目が悪くなるだけでなく、脆くなって耐久性が下がってしまうため本来の機能を発揮できなくなってしまいます。めっきを行って素材の表面に皮膜を形成することで、錆の発生から素材を守ることができます。「防食めっき」や「防錆めっき」ともいわれており、建築資材や機械部品などに使われています。

 

機能性
めっきはさまざまな機能を製品に付与するためにも行われており、「機能めっき」といわれます。めっきで付与できる機能の例としては、導電性、磁気特性、摩耗性、摺動性、耐熱性、耐変色性、はんだぬれ性などがあり、付与したい機能にあった金属皮膜を選択してめっきを行います。主に、電子部品や機械部品などに使われています。

めっきの種類

めっきは皮膜となる金属やどのようにして皮膜を形成するのかによって、さまざまな種類に分かれています。ここでは、主要なめっきの種類をまとめて解説していきます。めっきは大きく分けると乾式めっきと湿式めっきに分けられます。

乾式めっきの種類

乾式めっきは、水溶液を使わずに素材の表面に金属皮膜を作る方法です。めっきを行う方法としては、水溶液を使用する湿式めっきが主流ではありますが、乾式めっきも一定の割合で使用されています。

物理蒸着

物理蒸着は、真空状態の空間内で電子ビームや抵抗加熱などによって金属を加熱し、蒸発した金属が素材の表面に金属皮膜を形成する方法です。

化学蒸着

化学蒸着は、低真空状態の空間でめっきされる素材や空間の温度を上昇させておき、ガス化した金属を注入することで化学反応を起こして金属皮膜を形成する方法です。

溶融亜鉛めっき

溶融亜鉛めっきは、高温で溶かした亜鉛に素材を浸すことで、素材の表面に亜鉛皮膜を形成する方法です。主に鋼材の表面処理に使われています。錆やキズに強いだけでなく、長期間に渡って皮膜が維持されるため、経済的にもメリットのある方法です。

その他

真空状態にした空間内にガスプラズマを発生させてめっきしたい素材に電子ビームを照射するイオンプレーティング。アルゴンなどの不活性ガスを注入し、めっきしたい素材と皮膜となる金属の間に高電圧を加えることで皮膜を形成するスパッタリングなどの方法があります。

湿式めっきの種類

湿式めっきは、水溶液を使って皮膜を形成する方法です。めっきを行う方法の中では最も主流であり、さまざまな種類の湿式めっきが行われています。

電気めっき

電気めっきは、湿式めっきの1種であり、その名の通り電気の力を使ってめっきをする方法です。めっき液中に皮膜となる金属とめっきしたい素材を浸けておき、電気を流すことで金属皮膜を形成します。

 

クロムめっき
クロムめっきは、耐食性や装飾目的で多く使用されています。非常に硬い金属皮膜を得ることができるため、シャフトや軸受などの強度や耐摩耗性が求められる機械部品によく使われています。

 

スズめっき
スズめっきは、防錆目的で昔からよく利用されていました。現在でははんだぬれ性を向上させる目的で、基板に実装する電子部品などにスズめっきがよく使われています。

 

その他
美しい見た目だけでなく、優れた耐食性や導電性、はんだぬれ性を持つ金めっき。優れた導電性や抗菌性を持つ銀めっき。入手しやすくて幅広い用途に使われる銅めっきなど、さまざまな種類のめっきが行われています。

無電解めっき(無電解ニッケルめっき)

無電解めっきは、電気を使わずに化学の力を利用してめっきをする方法です。化学反応によってめっき液中にある金属イオンがめっきしたい素材の表面に移動し、金属皮膜を形成します。
無電解ニッケルは、均一な膜厚を得やすいことや、樹脂などの電気を通さない素材にもめっきをすることができるという特徴があります。
無電解めっきでは、ニッケルの金属皮膜を形成させる無電解ニッケルめっきがよく使われています。ニッケルはさまざまな特徴を持った金属であり、強度、耐摩耗性、耐熱性、磁気特性といった用途で使われています。

化成処理

化成処理では、化学的な方法によって素材表面に皮膜を形成します。化学薬品を使うものや電気化学を応用したものなどがあります。

 

パーカー処理(リン酸塩皮膜処理)
パーカー処理(リン酸塩皮膜処理)は、耐食性や塗装の密着性を向上させる目的で、化学薬品に鋼材を漬けたり、スプレーで吹き付けたりすることでリン酸塩皮膜と呼ばれる化成皮膜を形成する方法です。

 

クロメート処理
クロメート処理は、主に亜鉛めっきの表面に行われている化成処理で、高い耐食性を得ることができます。クロム酸塩を含む溶液に素材を漬けることで、素材表面に酸化皮膜を形成させます。クロメート処理で形成された酸化皮膜には自己修復作用があり、表面にキズが付いても自己修復されることが特徴です。

 

アロジン処理
アルミニウムの耐食性や塗装などの密着性を向上させるために、上述したクロメート処理をアルミニウムに対して行った場合は、アロジン処理と呼ばれます。アロジン処理は日本パーカライジング社の商品名です。アルマイト処理と異なり不動態膜を形成しないため、導電性を持つのが特徴です。

 

フェルマイト処理(四三酸化鉄皮膜)
鉄材の表面に四三酸化鉄皮膜という酸化皮膜を形成させることで、腐食を防ぐ方法です。色は光沢のある黒で仕上がるため、「黒染め処理」ともいわれます。

陽極酸化処理(アルマイト処理)

陽極酸化処理は、アルミニウムのめっき処理です。アルマイト処理という呼称が一般的です。アルミニウムを電気分解することによって表面を酸化させ、陽極酸化皮膜という皮膜を形成します。アルミニウム自身が皮膜に変化するため、優れた耐久性を持つのが特徴です。

めっき処理の工程


めっきを行うための作業工程は、前処理、めっき(本処理)、後処理の3つのステップに大きく分けることができます。ここでは、電気めっきを例として、各工程でどのようなことを行うのかをみてみましょう。

 

前処理
前処理の工程では、材料表面に付着した塵や油、錆などの異物を取り除きます。これらの異物が残っていると、めっきで形成される皮膜の密着性や平滑性が悪くなるため、めっき不良の原因となります。他にも、めっき槽内の不純物を取り除いたり、材料表面を活性化したりすることも前処理工程に含まれています。

 

めっき
実際にめっきを行う工程です。めっきを行う方法には、ラックめっきとバレルめっきがあります。

ラックめっきは、めっきする素材を治具に引っ掛けて、吊り下げながらめっき液に漬けます。あらかじめ素材を治具に引っ掛ける作業が必要ですが、素材が変形するリスクが少なく、均一な膜厚を得ることができます。

バレルめっきは、樽(バレル)の中にめっきする素材を入れて、樽を回転させながらめっきを行います。素材の変形や膜厚の
ばらつきが発生する可能性がありますが、一度に大量の素材をめっきできるため、
コストが低い傾向にあります。

 

後処理
めっき後の素材を水洗いした後に乾燥させれば、めっき処理は完了です。めっきの種類によっては、めっき後に次のような後処理を行う場合があります。

  • 鋼材を脆くする原因になる水素脆性を防止するベーキング処理(熱処理)
  • 亜鉛めっき後などに行うクロメート処理
  • 塗料や防錆剤の塗布

後処理後の製品は、めっき品質の検査や外観検査を行ってから出荷されます。

めっきのメリット・デメリット

最後に、塗装などの他の表面処理方法と比較しためっきのメリット・デメリットを紹介します。

 

めっきのメリット

  • 皮膜の密着性が高いため、剥がれにくい
  • 塗料に比べると皮膜の強度が高いため傷みにくく、皮膜を長期間維持できる
  • 金属由来の光沢や質感を簡単に得ることができる
  • 金属の特性を使って、さまざまな機能を付与することができる
  • やり方によっては、微細な素材や複雑な形状でも均一な金属皮膜を形成できる

 

めっきのデメリット

  • 前処理工程を始めとして作業する内容が多く、手間と時間がかかる
  • めっきを行うための設備が大掛かりになるため、設備の導入と維持管理にコストがかかる
  • 素材との相性でめっきできる金属皮膜に制限があり、めっきできない素材も存在する

まとめ

この記事では、めっきの概要や種類、メッキの処理工程、メリット・デメリットなどについて紹介しました。この記事を読んで、めっきについての理解を深めていただけていたら幸いです。

めっきの種類は、ここで紹介しきれなかったものがまだまだあります。自社で作りたい製品にあっためっきの種類やめっき加工の工場を選定するのは大変なことです。めっきでお困りの際には、『ファクトリーエージェント』へご相談ください。

『ファクトリーエージェント』では、お客様のつくりたい製品の機能と形状を理解し、適切なめっきの種類や品質、予算、納期などを提案してくれるサプライヤーに出会うことができます。めっきの方法や価格でお悩みの場合は是非ご相談してみてください。

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