曲げ加工とは?原理や種類、注意点などの基礎知識を解説!

板金加工の基礎

2021/03/05

金属の基本的な加工方法の1つであり、製品の形状を作っていくうえで欠かせないのが曲げ加工です。板金加工やプレス加工の製造現場では、さまざまな方法で曲げ加工が行われています。曲げ加工の知識があれば、設計する時や曲げ加工を依頼する時に役に立つでしょう。この記事では、金属加工の専門家が曲げ加工の原理や種類、注意点などの基礎知識をまとめて解説いたします。

曲げ加工とは?


曲げ加工は、その名の通り材料を曲げることで変形させて、さまざまな形状に加工する方法です。金属には、一定以上の力を加えて変形させると元の形に戻らない性質(塑性)があり、曲げ加工でもその性質を利用しています。

板金加工やプレス加工では、製品の展開形状に切り出された材料に対して曲げ加工を行うことで、製品の形を作り上げていきます。複雑な製品になると、曲げ加工を複数回行ったり、さまざまな曲げ形状を組み合わせたりするため、作業者の技術力が求められる加工方法です。

曲げ加工で製造できる代表的な物

以下の写真は、曲げ加工で製造されている代表的な物です。一部だけ曲げただけの単純な製品から、複数回曲げた複雑な製品まで、さまざまな物を曲げ加工によって作ることができます。また、曲げ形状の種類も豊富にあることが分かるのではないでしょうか。

ブラケット 基盤ボックス
電源装置部品 PCのフレーム

曲げ加工の原理

曲げ加工は、プレスブレーキ(ベンダー)やプレス加工機といった機械に金型を取り付けて加工するのが一般的です。金型はパンチ(上型)とダイ(下型)に分かれており、その間に材料を差し込んでパンチを下降させ、数トン〜数千トンもの力を加えながらダイに押し付けることで、曲げ部に圧力を加えて変形させます。これが曲げ加工の基本的な仕組みです。

しかし、曲げ加工は簡単な加工方法ではなく、高精度に曲げるためにはさまざまな要素が関わります。硬さや引張り強さといった材料特性や板厚、金型形状、曲げ部に与える圧力など、挙げればきりがありませんが、作業者はこれらの要素を考慮して曲げ加工を行っています。

曲げ加工の種類

製造現場では、製品形状に合わせて曲げ方を変えることで、直角形状以外にもさまざまな形に金属を曲げています。曲げ加工にはどのような種類があるのかをみてみましょう。

ボトミング

ボトミングは、「底突き曲げ」とも言われている加工方法です。V字型の金型を使用して、パンチをダイの底まで押し込むことで曲げ加工を行います。材料がパンチとダイにぴったり挟まれるため、少ない圧力でも高い精度で曲げられるのが特徴であり、加工もしやすいので最もよく使われている曲げ方です。

コイニング

コイニングは「圧印曲げ」とも言われており、ボトミングに近い加工方法です。V字型の金型を使用して、パンチをダイの底まで押し込むところまではボトミングと同じですが、コイニングの場合はボトミングよりもさらに高い圧力で押し込んで、パンチの先端を材料に食い込ませます。高い圧力をかけて曲げるため、ボトミングよりも高い精度で曲げることができますが、金型の消耗が激しいことや大型の設備が必要になることから、現在ではあまり使用されなくなっています。

自由曲げ(パーシャルベンディング・エアベンディング)

自由曲げ(パーシャルベンディング・エアベンディング)は、ボトミングやコイニングと同じくV字型の金型を使用する曲げ方ですが、パンチとダイに材料が面で接触しない点が特徴です。パンチを下降させる距離を調整することで、曲げ部の角度を自由に決めることができます。曲げたい形状にあった金型がない場合や、試作品の製造時などによく使われています。しかし、曲げ加工の精度は最も低くなり、安定して曲げるためには高い技術力が必要です。

R曲げ

R曲げは、丸みを帯びた形に曲げる加工方法です。R型の金型を使って加工するのが一般的ですが、後述する送り曲げのように、V字型の金型を使うことで近い形状に加工する場合もあります。

ロール曲げ

ロール曲げは、板材を曲面状に曲げる加工方法です。他の曲げ方で使うプレスブレーキやプレス機ではなく、ロールベンダーという専用の機械を使って加工されます。3本の回転するロールの間に板材を送ってパイプなどの円筒形状に曲げていき、ロールの位置で円弧のサイズを調整します。

段曲げ

段曲げは、材料を階段状に曲げる加工方法です。横から見るとZの形に見えることから、「Z曲げ」とも言われています。V字型の金型を使用して2回曲げる方法と、専用の金型を作って1回で曲げる方法があり、後者の方がより高い精度で曲げることができます。

送り曲げ(FR曲げ)

送り曲げ(FR曲げ)は、R曲げと同じく丸みを帯びた形に材料を曲げる加工方法ですが、R型の金型でなくV字型の汎用金型を使って加工します。金属材料を少しずつ送りながら曲げることによって、大きなR形状であれば形をつくることができます。しかし、1つ加工するのに何度も曲げなければいけないため加工に時間がかかるのと、加工精度や見た目も悪いことから、基本的には試作品を作るための加工方法だといえるでしょう。

ヘミング曲げ

材料の端を180度折り返して曲げる加工方法です。一度に加工することは難しいため、折り返す工程と平らにつぶす工程を経ることによって形が作られます。端面が丸くなって安全性が向上することや、折り返すことで2枚分の板厚になり強度が増すというメリットがあります。

曲げ加工の注意点と対策

最後に、曲げ加工における主な注意点とその対策を紹介します。実際に曲げ加工を行う人だけでなく、曲げ加工を依頼する人にもぜひ知っておいてもらいたい内容です。

 

スプリングバック
曲げ加工後にパンチが材料から離れて荷重が取り除かれると、曲げた部分の角度が少し開くスプリングバックと呼ばれる現象が発生します。そのため、曲げ加工はスプリングバックで角度が開くのを考慮しておく必要があります。あらかじめ角度を少し狭くして曲げ加工を行い、スプリングバックで角度が開いても寸法公差に収まるようにするのが一般的な対策です。ほかにも、あらかじめ曲げ部にVノッチ(へこみ)を入れておいてスプリングバックを抑制したり、複数回に分けて曲げ加工を行ったりする対策も行われています。

 

展開寸法の調整
曲げ加工を行った製品の寸法精度は、曲げの精度によって左右されるのはもちろんですが、曲げる前の展開形状の寸法によっても大きく影響を受けます。曲げ加工を行うと、曲げ部の外側は引っ張られて伸び、内側は縮んで圧縮されます

このような材料の伸び、縮みを考慮して展開寸法を調整しなければ、どれだけ精度良く曲げ加工を行っても寸法公差外になってしまう可能性があります。曲げ加工を行う作業者は、材料の特性や板厚に応じて展開寸法を調整することで、設計どおりの寸法に仕上げていることを覚えておきましょう。

 

穴の変形
上述したとおり、曲げ加工を行うと、曲げ部の外側は引っ張られて伸び、内側は縮んで圧縮されます。このことが原因で、曲げ部の近くの穴が引っ張られて変形することがあります。ネジを締めるために穴を空けていたのに、変形によってネジが入らないといった不具合の原因になりやすいため、設計する時に考慮しておくのが良いでしょう。

穴の変形を防ぐためには、穴の端から曲げ部までの距離を最低でも”板厚×1.5+曲げの内R”以上は離しておくのが目安となります。どうしても距離を離せない場合は、曲げ部に逃げ穴を空けておく、曲げた後に穴を空けるといった方法をとることもできますが、コストアップする可能性が高くなるため注意が必要です。

まとめ

この記事では、曲げ加工の概要、曲げ加工の種類、注意点や対策について紹介しました。この記事を読んで、曲げ加工についての理解を深めていただけていたら幸いです。

曲げ加工は、材料・板厚・寸法公差・スプリングバックなどのさまざまな要素が絡む加工方法であり、板金加工においては基本的ながら大変奥が深い加工方法でもあります。『ファクトリーエージェント』は、曲げ加工の技術力を持つ加工会社を適切に見極めておりますので、曲げ加工の発注先の探索にかかる時間を削減することが可能です。複数社から作りたい製品に合った技術や経験を持った発注先を選択できます。まずはお気軽にご相談ください。

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