板金加工とは?基礎から実践的な設計ノウハウまで徹底解説!

板金加工の基礎

2020/06/02

金属の加工方法の一つで、電子部品、機械部品の様な小さなものから、机やロッカーなどの一般製品を製造する際にも活用される板金加工。 その用途は多岐にわたっています。
この記事では金属加工の専門家が板金加工の基礎知識から活用法まで徹底解説いたします。

板金加工とは

金属の主要な加工方法で、薄い板状の金属材料(ステンレス、スチール、アルミ、銅など)に力を加えて変形させます。

作りたい製品の大きさや用途に縛られず利用できる加工方法のため、建築板金(屋根や自動ドアのフレーム)、内装系の板金(飲食店のカウンター、流しの周り、郵便受け)、工業系(鉄骨と薄い金属)、設備板金(産業設備の中で利用される)、看板、デザインチックなものまで、実にたくさんの分野で利用されています。

板金加工に適した製作物

スペーサのような機械部品、電極といった電子部品のように形状の小さなものから、電気・電子機器のカバーやボディー、フレーム、そして机、収納ラック、キャビネット、傘立てのような大きなものまで製作できます。

 

スペーサ  ボディー  ノートPCのフレーム 
電子部品(電極)  マンションの郵便受け  家庭用の流し台 
駅のゴミ箱  ロッカー  自動改札 

 

工業系の部品や専門的な機器を目にする機会はあまり多くありませんが、わかりやすい例として、郵便受けやごみ箱、ロッカーなどが挙げられます。

これらの特長として、金属の板を切ったり、折り曲げたりくり抜いたり、溶接して形を作り上げるため、板状のもの、そして中空のものの製作に向いています。

板金加工の種類

人がハンマーやツカミ、板金ハサミなどの工具を使って成形する『手板金』と、機械により、汎用金型を使って成形する『機械板金』があります。

手板金は流線形などの形を出すときや、細かな部分を作る事に適していますが、作業にかかる時間が長くなってしまいます。逆に機械板金は、短時間に大量の物を作る事にはむいていますが、手板金ほど形や細部にこだわったことに向いていないのが特徴です。

 

手板金  機械板金 

板金加工の工程

機械板金の工程は、「設計・展開プログラム」「切断」「穴あけ(抜き)」「曲げ」「溶接」「仕上げ」と大きく6つの工程に分けられます。

 

①品質やコストまで含めて、製品をどのように作るかを考える「設計・展開プログラム」

図面は基本的に第三角法で書かれています。これを板金でどう実現するか、平らな金属板への展開図を作ります。算数の授業で行った展開図を思い出してください。

製品を作る際に、どの個所を溶接するか、その後の工程のために必要な遊びはどのくらいか?どう面付したら廃棄を減らせるかを考え部品ごとに展開します。製品の強度や精度、美観、そして歩留まり(廃棄する材料)と、影響を与える項目が多く、板金加工そのものではありませんが、とても重要な工程です。

展開した部品は、金属の板材に割り付けていきます。流通している金属の板材には規格サイズがあり、定尺材と呼ばれます。この定尺材に可能な限り無駄なく配置することもまた、全体のコストに直結する重要な工程です。

抜き出すモノとモノはより近い方が、1枚の定尺材からたくさんの製品を取り出せ、廃棄ロスを減らせるのですが、近すぎると、抜く時に製品をゆがませてしまったり、その後の加工効率を損なうこともあるため、機械の性能と板の強度、コストを把握して配置していくことが求められます。

 

②板状の金属材料を適した大きさに切り取る「切断」

定尺材に展開図を配置して、余る部分がたくさんあれば別の加工に使用できます。また、余る部分を残したまま抜き工程にまわすと取り回しに無駄が出て、余計な傷もついてしまうため、抜き工程に進める前に、必要な範囲を切り出しておきます。

この切断加工は、後述するシャーリングマシンで作業をします。

 

③材料を部品の形に切り出したり、穴あけをしたりする「穴あけ(抜き)」

この工程はブランク加工とも言い、後述するタレットパンチプレスやレーザ加工機で作業をします。

複雑な形状の抜きや穴あけなどは、この工程で行います。

 

◆タレットパンチプレス

◆レーザー加工

 

④抜いた材料に対して汎用金型を使い、力を加えて求める形状に変形させる「曲げ」

板金加工の代表的な加工である「曲げ」は文字通り金属を曲げて形を作り上げます。この工程をうまく行うと、次に来る溶接工程を減らせるため、製品の強度、精度、美観の向上に寄与します。

後述するベンダーマシンで作業します。

 

⑤変形した部品どうしを接合させる「溶接」

溶接を行い、部品同士を接合することもあります。溶接は主に、電気(アーク放電を熱源とする)を使って行うアーク溶接と、レーザ光を母材に照射し、金属を溶融して接合するレーザ溶接があります。

 

⑥コゲ処理や美観を整えるための「仕上げ」

切り出した箇所や溶接の接合部はどうしても粗い仕上がりになりますので、研磨することで美観を向上させるだけでなく、製品を手にした際、けがをすることなどがないよう、滑らかに仕上げます。

美観の良し悪しは、製品品質をわかりやすく表すため、気が抜けない工程です。

 

以上、主にこれらの工程を通して、最終的な製品に仕上がります。

代表的な工作機械

この章では、機械板金における代表的な機械をご紹介します。

◆切断:シャーリングマシン

切断加工で使用される代表的な機械は、「シャーリングマシン」です。

金属の板材には、規格サイズがあります。この板材に必要な部品を配置して、余る部分がたくさんあれば別の加工に使用できます。また、余る部分を残したまま抜き工程にまわすと取り回しに無駄が出て、余計な傷もついてしまうため、最初に必要な大きさに切り出しておきます。

シャーリングマシンでは直線的なカットしかできないため、複雑な形状の抜きは後述のタレパンやレーザ加工機で行います。

 

◆抜き:タレットパンチプレス、レーザ加工機

抜き工程では「タレットパンチプレス(タレパン)」や「レーザ加工機」がよく使われます。

・タレットパンチプレス

タレパンは、機械の中にあるタレット部に複数の汎用抜き金型をセットしておくことができます。クランプされた板材がテーブルの上を動くので、抜き金型を使い分けることで、目的の形状に抜いたり、穴開け加工を施したりすることができます。

抜き金型の組み合わせで抜いていくため、複雑な自由形状は苦手ですが、追い抜き(板材を少しずつずらしながら抜く)で、ある程度自由な形状が可能です。

また、皿モミ加工やバーリング加工といった成型加工も可能です。

抜いたあとの板材(ブランク材)にはバリが発生するので、サンダーや自動バリ取り機でのバリ取り工程が必要となります。

 

・レーザ加工機

レーザ加工機は、レーザ光を切削や切断加工に利用します。抜き金型に依存しないので、レースのような複雑な形状も抜くことができます。レーザ光により熱が発生するため、多くの場合、こげ処理が必要となります。

 

◆曲げ:プレスブレーキ(ベンダー) 

曲げ工程で使われる代表的な機械は「プレスブレーキ」です。現場ではベンダーと呼ばれることが多い機械です。上型(パンチ)と下型(ダイ)の間にブランク材を差し込み、上型を下降させて数~数千トンもの力を加えて目的の形状に曲げていきます。直角曲げ、R曲げ、ヘミング曲げ、などさまざまな形に曲げることができます。

人がブランク材を持ってベンダーに差し込むため、掴みしろが必要になります。設計段階から考慮しておく必要があります。

目的の形状にするために、複数個のベンダー用金型が必要な場合は、型を取り替える段取りが発生します。段取りが多いものは工賃がかさみます。

機械によっては、ベンダー用の金型を複数個セットしておいて、差し込む位置をずらして曲げていくステップベンドが可能です。

 

◆溶接:テーブルスポット溶接機、アーク溶接機

 

溶接工程で使われる代表的な機械は「テーブルスポット溶接機」と「アーク溶接機」です。

・テーブルスポット溶接機

テーブルスポット溶接機は、電極と電極の間にワーク(抜きや曲げが終わった状態の材料)を置き、通電させることでワーク同士を溶かして接合します。受けとなる電極はテーブル状になっています。

その上に溶接したいワーク同士を重ねて置き、キャップ上の電極を当てると、その電極が当たった部分がスポット的に溶接されます。溶接範囲は直径数mmと小さく、焦げ痕も薄いです。このスポット痕は仕上げで目立たなくすることはできますが、完全には消えません。

 

・アーク溶接機

アーク溶接機は、アーク放電を利用した溶接法を行う機械です。溶接したいワークに電極を取り付けて電流を流し、もう1つの電極との間にアークを発生させ、その熱を利用して、溶加材(棒状あるいはワイヤ状)という金属を溶かしてワークを接合します。

アークを安定させるために溶接部にガスを噴出させながら溶接します。

アーク溶接は、電極が溶けない非消耗電極式、電極が溶ける消耗電極式に分類されます。さらに、ガスの種類によってもTIG溶接、プラズマ溶接、MAG溶接などに細分化されます。

余談になりますが、「点付け溶接」という溶接方法があります。ワーク同士を断続的に点で溶接していく方法です。強度があまり必要ない箇所であれば、この方法を指定すると、コストを抑えられます。

 

◆仕上げ:ディスクグラインダー

溶接をすれば焦げが発生したり、必要以上にビード(溶接痕の盛り上がり)が残ってしまったりする場合があります。そのままにしておくと美観を損なったり、手当たりが悪かったりするので、ベルトサンダーやディスクグラインダーを使って仕上げます。

ベルトサンダーでは、板材の目をそろえることができます。

例えばステンレスへアライン材を使用したワークの場合、曲げた個所や溶接をおこなった箇所で目の狂いが生じます。ベルトサンダーを使えば、狂ったヘアラインの目を整えることができます。ディスクグラインダーでは、不要な溶接ビードを削り取ることができます。

板金加工のメリットデメリット

板金加工は鉄、アルミ、ステンレス、銅、真鍮などの金属の板材を加工できる工法です。
板材の代表的な加工法である、プレス加工にくらべると金型がいらないのでイニシャル費用が安くなり、少量多品種に対応しやすい特長があります。

メリット

・金属の薄板を材料として加工するため、切削・鋳造・鍛造加工よりも軽く作れ、加工時間も短い
・中空の物が作れるので、筐体に向いている
・プラスチックの射出成形に比べ、強度の高い物が作れる
・木材加工品に比べ、材料の厚みを薄くできる
・プレス加工と違い、新規に専用金型を作る必要がない
・型費用がない分、コストを抑えられ、小ロットでの製造が可能
・切削加工に比べ、コストが非常に安く済む
・プレス加工に比べると金型がいらないのでイニシャルが安くなる
・少量多品種に対応しやすい

デメリット

メリットの多い板金加工ですが、大きな材料を切って曲げる、穴をあける、溶接するため、高い精度を求められる精密系には不向きです。(精密系に向いているのは切削加工)
また、量産にも対応できますが、大量生産の規模になると、金型を用いるプレス加工に比べ、精度もスピードも劣ります。

・1/100 mmなどの高精度を出すことは難しい
・専用金型があれば一度で成型できる製品であっても、専用金型を作らない方法のため、加工工数が増え、完成までに時間がかかる
・手動の工程も多く、大量生産に不向きな形状がある
・専用金型が不要といっても、タレパンやベンダーにセットする汎用型は必要となる

板金加工設計ノウハウ

板金加工では、加工方法を考慮した積み上げ式の設計ではなく、製作する物の最終形状をまずイメージしてください。そこから材料や板厚を定め、加工機械の特性を考慮して設計することが、コストを抑えながらイメージ通りの製品を作りあげる近道になります。

設計においては、優先順位を決めることも重要です。製作する製品が強度を要求されるものなのか、オブジェなど意匠・美観を優先されるものなのか、コスト最優先なのか何が重要な要素かを考慮してください。

それによって、材料は鉄なのか、ステンレスなのか、アルミなのか、一般的に流れている板厚でよいのか、ヘアライン加工しているものを使うのかといった素材の仕様を決めることができます。

また、穴抜きなどの軽量化や、必要な箇所にリブをつけるなど強度についての工夫も設計の際に行います。

工場の保有する機械・設備を確認する

抜き穴の径や形、R形状、曲げの長さなどは加工会社が保有する型のラインナップや機械自体のスペックに依存するため、設計時にすり合わせが必要です。

タレパンでの抜きであれば、加工会社の保有する型を利用し、一度で抜ける穴径や角穴にすることで、パンチ数を抑えられコスト削減につながります。また、追い抜き時の継ぎ目もなく綺麗に仕上がります。
ベンダーでのR曲げであれば、工場で何Rの型を保有しているか確認し、そのR形状で加工できるように形状を合わせることでコスト削減につながります。

曲げの長さについては、型だけではなくベンダー自体の長さにも依存してきます。加工不可ではないか、依頼先とのすり合わせが必要です。

また、加工可能な板厚も加工会社保有の機械のスペックに依存するので、確認が必要です。

掴みしろも考慮する

タレパン・ベンダーどちらの場合でも、掴みしろは考慮する必要があります。
タレパンでの抜き工程の場合、1枚の板材に効率よく部品を割り付けますが、規格サイズいっぱいに部品を割り付ければ良いというわけではありません。板材をテーブル上で移動させるため、機械側での掴みしろが必要になりますので、その分、割り付け可能な面積は狭くなります。
ベンダーでの曲げ工程の場合、人がブランク材を持って、ベンダーに差し込みます。よって、最小でも人が掴めるくらいの掴みしろが必要となります。

補強を入れる

金属の薄板を曲げて製品とするため、直線部分が長いといくら箱形にしても、弱くねじれやすい構造物になります。そのため、直線部分の裏側にコの字やハット折りした補強を溶接すると、強度を増すことができます。

溶接を考える

溶接は熱を加えるため、どうしてもひずみが生じます。精度に影響を与えますので、溶接個所をいかに少なく展開できるかは、設計の中でとても重要な工程です。

板金加工依頼時の注意点と依頼先のポイント

◆形状で譲れない部分があれば、それが製造可能か確認する
専用型を作らない分、製造の可否は加工会社保有の汎用型や機械のスペックに依存します。意匠上譲れない形状、実用性の上で実現したい形があれば、それが製造可能かどうか図面を元に発注先と加工方法を相談するべきです。

◆コストと納期と品質のバランスが適切か
これまで機械加工等の別の方法で製造されていたものを板金部品化することはできますが、かえってコスト高になったり、強度が落ちてしまうことがあります。そのため、量産前の試作により板金部品化した製品を十分に評価する必要があります。

◆輸送コストは適切か
板金加工の外注先と自社工場の距離が離れすぎていると、輸送コストがかさみます。アセンブリするための段取りも含めて、外注先を選びます。

◆過剰な公差指定は避ける
必要以上に厳しい公差の設定はコストアップの要因になるので、適切な公差となるよう気をつけます。

まとめ

以上が板金加工の基礎知識になります。
この記事を読んで、板金加工についての理解を深めていただけていたら幸いです。

また、記事を読んで「作ってみようと思っていたものは、板金加工で作れるのかな?」という疑問も生じた場合、『ファクトリーエージェント』へご相談ください。

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イラスト提供・撮影協力:五洋工業株式会社

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