抜き加工とは?-板金加工における抜き加工の基礎-

板金加工の基礎

2020/06/05

抜き加工1

製品設計をしていると、シャフトやケーブルが通る部分やネジの締結部など、板に穴をあける構造が必要になります。板厚によって得意とする加工方法は異なり、薄い板に適した穴あけ方法の1つとして抜き加工があります。抜き加工は穴あけだけではなく、任意の外形を「切り抜く」方法としても活用されます。 この記事では、板金加工の中でも代表的な穴あけ、外形取りの方法である抜き加工の基礎知識について紹介します。

抜き加工とは?

板金加工における抜き加工は、一般的には材料を金属製の金型などでせん断することを指します。
このせん断にはプレス加工機、タレパンと呼ばれるタレットパンチプレス機が広く利用されています。
精度を要求する場合や複雑な形状の加工の際に特定の形状の専用型を利用しますが、基本的には丸型、角型の汎用型を利用してコストを抑えることに主眼をおいた加工方法です。

抜き加工を広い定義で考えると、レーザーを利用したくりぬき加工も抜き加工と呼ぶことができますが、ここではレーザー加工は別として扱います。

抜き加工の種類

抜き加工は素材から任意形状を“打ち抜く”ということであると書きましたが、穴をあけることだけが「抜き加工」ではありません。

抜き加工には大きく分けて以下の6種類がありますので紹介します。

1.打ち抜き加工
2.穴抜き加工
3.切り込み(スリット)加工
4.縁取り(トリミング)加工
5.半抜き加工

打ち抜き加工

抜型と面板の間に加工材を挟み、板材から製品になる部分を抜き取る(型抜きする)ことを指します。

穴抜き加工

打ち抜き加工との違いはダイに残った金属板の方が商品となることです。

製品となる材料から不要な部分を切り抜くことを指し、抜き取られた部分はスクラップになります。

切り込み(スリット)加工

板から任意形状を完全に抜き切るのではなく、一部繋がったままにして切り込みを入れる加工です。

切り込みと同時にスリットを入れた部分の材料を押して成形(フォーミング)することもあります。

縁取り(トリミング)加工

絞り加工をした製品やその他でプレス加工した製品の不要な部分の縁を取ったりすることも板金加工では可能です。これをトリミングと言います。

半抜き加工

板から完全に穴を抜くのではなく、板に図形や模様を浮き上がらせた状態で止めるエンボス加工もこの半抜き加工になります。

半抜き加工は模様をつけるだけでなく、場合によっては板に位置決め用の突起を出すことで組み立てをする時の不要な治具を減らすことにも役立てられます。

抜き加工ができる材料と形状

抜き加工は鉄、アルミニウム、ステンレス、リン青銅、黄銅、銅などのほとんどの金属素材およびウレタン、ゴム、樹脂、カーボンなどにも適用できます。

板金加工の抜きで使用するパンチとダイは汎用金型に分類し、色々な加工に転用します。
そのため、同じ製品でも加工業者ごとに工夫の仕方が異なるのが通例で、得意・不得意な形状というのは業者の技量によって異なります。

CAD/CAMにてプログラムを作れば、四角や丸といった基本となる金型の組み合わせで多様な形状を打ち抜くことができますし、小さなパンチを連続して打ち抜くことで異形外周も切り抜くことが可能です。

「抜き加工」の加工限界

板金プレスで抜くことができる板金素材の厚みには限界があります。

素材の種類にもよりますが、一般的には0.5~3mm程度と言われています。

素材の厚みが3mmを超える場合はレーザー加工をおススメしますが、業者ごとに所有しているプレス加工機の種類が異なったり、金型を工夫したりしているので一概には言い切れません。

また、どれだけ小さな穴を抜くことができるのか、あるいは逆にどれくらい大きな穴を抜くことができるのかという疑問があるかと思いますが、丸穴を抜くのにも限界があります。

丸穴を抜く場合の限界は最大で板厚の1.5倍程度、最小で0.5倍程度とされます。
加工精度は金属素材の場合だと±0.1mm程度で、精密加工の場合で±0.05mmくらいです。

抜き加工の代表的な方法

抜き加工には、大きく分けてタレパンによる抜き加工とプレス加工の2種類があります。加工スピードや生産単価コストに違いがあり、どちらの加工方法で生産するかの判断は、作りたいものや数量などにより違ってきます。

タレパンによる抜き加工

タレパンの強みは小径の穴を1回のプレスで複数個、同時に打ち抜くことができることです。

タレパンによる抜き加工は加工スピードが速く、製品形状や大きさにもよりますが1分間に数10ショット打ち抜くことができます。そのため、大量生産が必要なときにはリードタイムに貢献します。

また、材料歩留まりにも優れています。板材から加工するため、打ち抜く製品どうしの隙間を工夫すればスクラップが最小限に抑えられますし、複数の異なる製品を同時に同じ材料から打ち抜くことも可能となります。

タレパンで板に穴をあけるために一番重要な部品はパンチ(突起)とダイ(穴)からなる金型です。パンチとダイはお互いが高精度にはまり合う一対の工具になっており、パンチとダイの間に材料を挟んで打ち抜けば、パンチの形状がそのまま材料に転写される形で穴があきます。
タレパンには複数の金型を同時にセットすることができ、NC制御によって任意の位置に自由に所定の抜き加工をすることが可能です。また、1つの汎用金型(例えば四角いパンチ)を連続して動かしながら打ち抜くことで、金型そのものの形状とは異なる指定した形状(長方形やより大きな角穴など)に打ち抜くこともできるため、大きい製品の打ち抜きに使えます。

タレパンの生産方式

製品設計をするうえで欠かせないのが生産コストであり、その生産コストを左右するのが生産方式です。

タレパンを利用したプレス加工には

1.単発型
2.トランスファー型
3.順送型

という3つの方式があります。

単発型は作業者が1つずつ材料の出し入れを行う最も単純なタイプのプレス加工です。
金型の修理や改造が容易であり、金型費用も安く済みますので、設計変更の可能性がある試作段階では単発型を利用することが多いです。
しかし、作業者の拘束時間が長くなるため製品単価は高くなる傾向にあります。

生産数基準で考える場合、数千個レベルまでなら単発型でよいでしょう。
1個、2個といった単品生産の場合はプレスではなく、レーザー加工の方がよい場合もあります。

トランスファー型と順送型は数万個あるいは数十万個以上の生産に向いています。
どちらも、SPM(1分間の生産数)が単発型に比べて優れているためです。

トランスファー型は1つの製品を作るのに複数の工程に分け、それぞれの工程に合わせた単発型の金型を横一列に配置したような設計になっているプレス機を使います。
1つ目のプレス工程が終わったら、2工程目のプレス機へと製品を搬送(トランスファー)し、2工程目が終わったら3工程目・・・というように加工品を動かしていくタイプの加工方法です。

量産向けという点では順送型もトランスファー型と似ていますが、異なるのは金型です。
順送型で使用する金型は、単発型とは異なり、1つの金型の中に複数の工程を等間隔に配置したものになります。
その金型を1台のプレス機にセットし、長いコイル状の素材を一定の間隔(加工工程数)で送りながら連続してプレス加工します。
使用する金型は1台ですが、順送型で使用する金型は高度なノウハウが必要であり、金型費用も高額になります。
一方で、製品は高速大量生産できるため、製品単価は安くなります。

まとめ

板金における抜き加工は、製品形状によって、ここでは紹介しきれないほど深い技術を要求される場面があります。
数ある加工会社がどのようなノウハウを蓄積しているのかは千差万別です。

「このような製品を作りたい」という構想を実現し、商品化するためには、コスト面や生産性を含めて専門業者に総合的に判断してもらう必要性があります。

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